結論から言うと、若手のうちは公立・私立で大きな差は出にくく、差が開くのは勤続年数が長くなってからです。公立は地方公務員として給料表にもとづき毎年昇給する一方、私立は園ごとの制度差が大きい。ただし私立でも処遇改善等加算の配分が手厚い園を選べば差は縮められます。この記事では、年収差が生まれる「仕組み」から解説します。
公立保育士は、市区町村が運営する保育所に勤務する地方公務員です。給与は自治体が定める給料表にもとづいて決まり、勤続年数に応じて号給が上がっていきます。私立のように園の経営状況で待遇が変わることはありません。
一方で、勤務先は自治体が決めます。数年ごとに園を異動するのが一般的で、保育所以外の児童福祉施設や本庁の子育て支援部署に配属されることもあります。「この園で働き続けたい」という希望は通りにくい仕組みです。
| 公立(地方公務員) | 私立 | |
|---|---|---|
| 給与の決まり方 | 自治体の給料表 | 法人ごとの給与規程 |
| 昇給 | 毎年、号給が上がる仕組み | 園による。定期昇給がない園もある |
| 賞与 | 期末・勤勉手当(条例で規定) | 園による。年2ヶ月前後が多い |
| 退職金 | 共済制度が整備されている | 園による。40%が退職金制度を掲載 |
| 勤務先 | 自治体が決定・異動あり | 入職した園で継続 |
| 採用 | 公務員採用試験 | 園・法人の採用選考 |
ポイントは「初任給の差」ではなく「昇給カーブの差」です。公立は毎年決まった幅で上がり続けるため、勤続15年・20年と重ねるほど累積の差が大きくなります。主任・園長といった役職に就いた場合の差はさらに開き、公立のほうが高いという調査結果もあります。
逆に言えば、数年で転職する前提なら差は小さいということでもあります。
えんナビが2026年8月に福岡県内の公開求人を集計した結果です。
| 月給レンジ下限の中央値 | 203,600円 |
|---|---|
| 月給レンジ上限の中央値 | 235,800円 |
| 「ボーナス・賞与あり」の掲載率 | 58% |
| 「昇給昇進あり」の掲載率 | 50% |
| 「退職金制度」の掲載率 | 40% |
注目したいのは、「昇給昇進あり」を掲げているのが半数にとどまる点です。裏を返せば、残り半数は昇給の仕組みが求人票から読み取れません。公立との差が開くかどうかは、まさにここで決まります。求人票を見る際は、初任給より「昇給の有無と幅」を確認してください。
詳しい調査結果は福岡の保育士求人521園を調べて分かったことにまとめています。
公立を目指す場合は、志望する自治体の募集要項を毎年確認する必要があります。採用枠は限られており、募集のタイミングを逃すと1年待つことになります。
公立の採用は狭き門で、年齢制限もあります。すでに保育士として働いている方が現実的に取れる選択肢は、私立の中で条件の良い園を選ぶことです。差を縮める要素は次の3つです。
なおえんナビは民間の有料職業紹介事業者のため、公立保育士(公務員)のご紹介はできません。私立の求人の中から、昇給の仕組みや加算の配分まで含めてご案内する形になります。
※本記事の福岡の数値は、えんナビが2026年8月時点で福岡県内の公開求人情報から独自に集計したものです。公立の給与は自治体・年度・経験年数により異なるため、具体的な金額は志望自治体の給料表および募集要項をご確認ください。
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